高い、高い高い。
 ソレは蒼く高く澄み切って、頭上に恐ろしい程に広がる。


 ああ、オレ達は。
 どこまで、きたのだろう。


 傍らの、濃く青く重い服を纏うかたわれは。
 目の前に広がる果てのない荒れ野に目を奪われ。
 同じ青を纏う自分は。
 頭上に広がる、遠い蒼に目を奪われた。

「……何処まで、来たのか、な」
「……さぁ、な」
「何処迄行ったら、良いのかな」
「何処までも、だろうな」

 この地を不毛と変えた。
 恐るべきこの、両の手に潜められたちから。
 それを。
 振るった後に残ったこの。

 とおくたかくひろく。
 なにもない、せかい。

 敵も味方もなく。
 目の前にいたもの全てに。
 自分とかたわれは。
 ちからを、ふるったのだ。

「どうしよう、か」
「どうしたもこうしたもないよ」
「そうだ、な……」

 手の内に、青と褐色しかない世界を彩るような、血の色の赤。
 差し込むひかりに、てらてらと照らされて。
 ソレはただ、赤い色をくすんでしまった白い手袋に落とす。

「もう、何処にも戻れない」
「戻る事も赦されない」
「でも、オレの場所はここに、ある」
「ボクの場所も、ここにある」

 二人、そっと手を併せ互いの身体に指を触れれば。
 青い、国の威厳を表す色とカタチは見る間に姿を変え。
 懐かしい旅装束へと、色を変える。

「何処へ行こうか」
「何処までも、あなたとならば何処までも行ける」
「そうだな、お前となら何処へでも行ける」
「さあ、行こう……兄さん」

 差し伸べられた手は、昔のような鞣しではなく。
 柔らかな、肉。
 其れを受け取った手は、昔のような鋼ではなく。
 暖かな、体温。

 罪を罪と知った上で。
 穢れを穢れと悟った末で。
 二人は、二人しか知らぬ先へと向かっていく。


 楽園への地図は、最早二人の瞳の中。
 その道は、高い蒼等何処にも見えぬ濁った赤。

 それでも。
 彼らは言うだろう。
「あなたのいるこの場所が、ボクの楽土だ」
「お前のあるこの地が、オレの終着だ」
 そう、奏でるだろう。

 空はただ蒼く高く。
 大地はただ乾きくすんだ色を見せ。

 その中で、鮮やかな色を持ったまま、二人は進み出す。


 その行く末は、誰も知らぬ地図の上の楽園なのだ、と。



 
 







 



 遠キ ソラ  2006.8.26



 
 

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