「ねー」
「あんだ」
 仰向けでソファで寝そべり持ち帰っていたレポートを流していたエドは、弟の声に振り向こうと体を起こしす。
 だが、いきなりのしかかって来た己よりも体格の良すぎる発育順調な弟の体重にそれは阻まれた。そして覗き込む等にしてにっこりと微笑んだ弟はその笑顔とは裏腹の台詞を吐き出す。
「いいでしょ?」
「何を」
「だから、ナニを」
 毎度毎度だが、何故こいつは己と二人きりに成るとこういう事ばかり仕掛けてくるのだろう…と思い、エドは軽い頭痛を覚えてこめかみを押さえた。
 しかも最近は時も場所も状況も選ばない。
 この間等はいきなり軍の執務室で人の軍服を剥ぎ取りに掛かったのだ。流石にそれは拙いので黄金ならぬ鋼の右で殴り倒して事無きを得たのだが、ここは自宅でしかも今日は誰も訪ねてくる予定すら無いと来た。
「ふざけるな木瓜。冗談じゃねぇ」
「なんでー?」
 首を傾げて可愛く言ってくる所なんか見てるとやっぱりこいつはオレより年下なんだよなーとか思うけれどやっている事は兄を押し倒してしかもシャツのボタンを外しに掛かっているのだからこれでは差し引きゼロどころかマイナス表示。
「なんでじゃねぇ。可愛く言っても無駄だ、気分じゃねぇ。たまの休み位のんびり休ませろ」
「たまの休みだから、ボクだって溜まっているこの感情を出して楽になりたいんですが。勿論出すのは兄さんの中」
 ………………ぶち、と。
 エドの頭のどこかで何かがキレた音がした。
「お前の都合等知った事か!!!」
「なら兄さんはどうなんだよ!溜まってないの?前ヤったの二週間も前だよ?」
 二週間前にあれだけたらふくヤッたじゃないかと思うのだが、この弟と来たら性欲は底無しらしく腰が立たない所か翌日動けなく成るくらいヤッてもまだ足りやしないとほざくのだ。
 だが、本来性的欲求が薄いエドにしたらそれはもう地獄の沙汰な訳で。
 毎度毎度気が狂いそうなのにまだ足りんのか、とさっきのキレ具合も忘れて思わず溜め息が出る。
「オレは間に合ってる」
「ボクは間に合ってないんだよ…兄さんが目の前半裸で歩いたりするし」
「つかお前オレが半裸で歩いてもオレは女じゃねぇんだからそれは日常的なものと割り切れと何度言ったら!」
「だーから何度言えば解るのさボクは兄さんにしか欲情しないんだよ!勃たないんだよ反応しないんだよヌけないんだよ!」
 状況的には論舌的でまぁきちんとした格好で演台なんかでしかもサイレントで見たら呆れてモノが言えなくなる位格好良いのだろうが、今こいつが言ってる事は間違いなく公序良俗に反する事項である訳で。

 ―――――――なんでその顔からこんな事がつらつらと出てくるかなぁ
 ―――――――お前の追っかけのお嬢さんたちが泣くぞ……

と思ったが、今更言っても無駄なのでとりあえずそれは胸に仕舞い込んでエドは聞く耳持たずに溜め息をつく。
 だけど目の前(というか己の下)の兄がそんな事考えているなんて知らない弟は熱く切々と思いの丈を語り続けた。
「元より本物の貴方と違ってボクはバイ寄りのヘテロだって言うのにもうこの体は貴方だけしか必要としないんだよ!なのにそんな無体な事言って…ちゃんと責任取れよ馬鹿兄貴!」
「オレがホんモのだとかそういう話はいいとして相変わらずそういうことをさらりと言うなぁ…でも今のオレの気分的に責任は取れん」
「天国の母さん、兄さんがヤラセてくれない」
「アルフォンス、っの木瓜ぇ!其処で母さんを引き合いに出すんじゃねぇこの」
 まさかここで天できっとにこやかに見守って(特に弟の凶行を)いるであろう母親が引き合いに出されるとは思いもよらず。
 エドは、本当にうっかりではあったのだが。
「住所不定放蕩親父そっくりの、色情魔ぁぁぁぁっ!」
 言葉を選び状況を判断する事を、忘れてしまったのだ。
「ちょっとそれは聞き捨てならないね!一体誰が…って、え?」
「……あ」
「何で…父さん、そっくり……?」
 さー、と血の気の引く音が、した。
「あ、ああああそそそそそうだ腹減らねぇか今日は兄ちゃんが飯作っ」
「どういう事だよ」
「な、ななな何がかなアルフォンス君?」
 焦る兄とは裏腹に、アルフォンスさんたらにっこり笑って黒いオーラを全身から発している。
「何処がどう父さんに似た色情魔なのかな、兄さん…?」
「い、いや、なんだ、親父に似て来たなって言うかお前は顔の作り 以外は親父似だなって言うかそのタラシ根性は全くそっくりだって言うか口も八丁手も八丁だとか手玉に取るのが上手いというかにっこり笑って腹黒い所も似て るよなとか人畜有害とか歩く核弾頭って言うか何言ってるのか自分でも解らなくなって来たんだが兎も角お前は存在自体がエロで助平で変態でサドで鬼畜でどう しようもない男だって事は親父とソックリだと言うかなんつーかまぁオレが思うになアルフォンス君お前はやっぱり親父に似てい」
「そんな事はどうだっていいんだよ、ボクは」
 焦りの余り何言ってるんだお前発言を繰り返すエドの言葉をぴしゃりと止めると、アルは口元に微笑みを浮かべ、目元を禍々しく細めてそれはそれは寒々しい表情を、見せた。
「ともかく、この件に関してはちゃんと話し合う必要があるよね、兄さん?」
「あ、あの、いやそれは単なるこ、言葉のアヤって、言うかその」
「ちゃんと聞かせてもらうよ、その口より素直な体にね、兄さん……」
「あ、う、うわ、あ、っだ、だれかたすけて―――――――!!!!!」




 この後、事情聴取とお仕置きをかねてエドが受けた尋問がエドの体に翌々日迄ダメージを与えた事はまあ、とりあえず触れておこう。









 S.E.E〜Super Eccentric Erlic〜 No.4 2005.6.4

開き直って続かない続き物にしてみました(笑)
しかし拍手で前後編は無いだろうと改めて思ってみたりもしたりなんかしちゃったりなんかして(このフレーズしってる人いるかね…H川T一郎……)
あ、兄さんは親父となんかあった訳ではありません。あったとしてもそれは未遂ですかラーーーー!!!残念!!!(ジャーン)



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