「兄さん」
「ん、ふぁんだ?」
 ビスケットの缶を抱え込みまるでキンダーガーデンの子どもの様にそれを咀嚼している兄の余りの可愛さに(アルフォンスフィルター始動中)思わず目眩を覚えつつアルは手元の雑誌をめくりコーヒーをすすりながら口を開く。
「口一杯ビスケットほおばって返事しなくていいから…でさ、やっぱり裸エプロンはロマンだよね」
 げふがふごふぅっ!と派手な咳込みが響き、それでも口の中のビスケットを吐き出さなかったエドは頬を冬眠前の栗鼠の頬袋のように膨らませたままアルに詰め寄った。
「ふ、ふふふふふふふふゃひふぉひひはふははうふぉんふ!(な、ななななななな何を言い出すかアルフォンス!)」
「だから口に食べ物入れて喋らない……入れて喋るならボクのモノにして」
 お茶で口の中の物を飲み下そうとして、言葉に含まれた幾つかの単語に一瞬茶を噴き出しそうになったものの気合いでこらえて何とか口の物を胃に送り込んでエドは弟の眼前に顔を突き出す。
「っはぁ……ってか何さらりと如何わしい事二つも重ねて言い出すかこの変態馬鹿弟!」
「何言ってんだよこの程度で。で、どう思う?裸エプロン」
「裸エプロンねぇ……別にそうそそらんな」
 さらりと交して話題を持っていく弟に、無駄だと悟ったエドは取り合えず思案するような素振りを見せて返答を返す。裸エプロンになど元より興味はない。と言うかそういった事にも余り興味がないと言うのが現実なのだが。
 だが弟はうっとりと兄の身体をまるで舐め回すように見つめて何処か楽しそうな声色で話し出した。
「そう?ボクは物凄くソソるけどね。兄さんがエプロン一つで台所に立って料理している後ろからボクが兄さん料理しちゃったりして…ロマンだよねぇ」
「なんでそこでその対象がオレなんだ」
「だってボクは兄さんにしか欲情しないし兄さんでしか勃たないから」
 聞くんじゃなかった、とエドは視線を逸らし窓の外を見つめる。
「昔は褌一丁だった奴が何言ってるかねぇ……」
「それはそれこれはこれ、第一ボクが裸エプロンやってもしょうがないでしょ」
 当然、というアルの言葉にエドの視線がいきなり鋭いものに変わった。
「……お前が、真っ裸に、エプロン……」
「そうだよボクが……って、に、にい、さ、ん?あの、目が座ってますけど?」
「……お前のそのきっちりしっかり締まった身体が飾り気のないエプロン一つでオレの眼前に……」
 ぶつぶつ言うエドの顔が、普段見ることのない何処か危険な艶すら交えたものに変わっていく。
 それを見たアルは背筋に何処か薄ら寒いものを感じて立ち上がった。
「は、はい?あの?エドワードさん?ちょっと顔がケダモノっぽいって言うか物凄く格好良くてドキドキしますと言うかそんな事でドキドキしてる場合じゃない!」
「そうか、裸か……」
「ねぇっ、一体どうしたの兄さん!?」
 いきなりトリップしてしまった兄の肩を掴み揺さぶるとついとエドの顔がアルを見上げる。
「なぁ…アルフォンス……?」
 その兄から感じたのは唯ならぬ色気。だが普段そういうときに見せる色気とは全く違う、どちらかといえば攻撃的な色気にアルは嫌な予感がして慌ててその肩から手を離した。
 だが、その手は素早くエドの手に捕えられするりと指を絡め取られる。おまけに開いた手はアルの頬をゆるゆると撫でているではないか!
「に、兄さん?」
「抱かせろ」
「へ?」
「犯らせろ」
「は?」
「お前が真っ裸でエプロン一丁なんて想像したらもう辛抱たまらねぇ!お前が欲しいアルフォンス、今直ぐお前を押し倒してこのオレ様のテクでアンアン言わせてやる!」
 なにか不吉な言葉を聞いた気がすると思いつつ一歩脚を後ろに下げようとしたらその隙を狙ってあっという間にさっきまで座っていたソファに押し倒されている。がっちりと腕を押さえ付けられて見下ろしてきた兄のギラついた目を見て、そうだ、この目は間違い無く自分が兄を押し倒している時の目だ、とやっとアルは気が付いた。
 が、状況を把握する前に経過を考え結論を出すのが学者肌の悪い癖。
 シャツのボタンを二つ三つ外し、何処か上気した顔でうっとりとアルの身体を見る兄(しかも何時の間にか弟の服をはだけている)が、それはそれは優しいけれど普段聞かない男臭い声色で囁いた。
「大丈夫だ、やり方なんて身体で知ってるさ。優しくしてやるから安心して兄ちゃんに全部任せな、アルフォンス……」
「……は、はいぃぃぃぃぃぃぃぃっ?」
 兄さん間違ってるこれじゃ逆だ逆!とアルは声の限り叫びたかった。
 だがそうやって叫ぶ暇すら与えてくれずにエドはアルの身体にのしかかる。
「兄さんやめ、て…おねがいだ、から…っ!」
「大人敷くしてくれよ、手荒にしたかねぇんだ、アル……」
 

 その後アルがどうなったのかは神のみぞ……いや、兄のみぞ、知る。
 
 
 



 S.E.E〜Super Eccentric Erlic〜 No.2  20005.4.7

つ、続いちゃったぁ(笑)
しかも兄貴オットコ前月間だったがためにエドアル風味(笑)
だけれども以外と人気のあった拍手でした。
何故だ、うちアルエドサイトの筈だよね!?

東條に裸エプロンを書かせるとこうなるという悪い見本でもある……
 

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